漫言放語~ 9月~

9月からの学級経営に生かす道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 「学校行きたくない」はSOS

 8月下旬、こんな見出しの記事が掲載されました(朝日新聞2021年8月20日)。

 記事によると「小中高生の自殺が、過去最多だった昨年を上回るペースで増えている」ということでした。

 子どもたちにとって、学校が行きたくない場所になっているとしたら、実に残念なことです。私たち教師は、このような実態に対して何ができるのでしょうか。

 そこで、「第12回感性を磨くセミナー」(オンライン)を、次のようなテーマで開催しました(8月末)。

子どもの成長を促す学級経営の基礎・基本~9月からの学級経営を充実させよう!~

 私が特に主張したのは、

学級に対する安心感をどう高めるか

ということです。学級に対する安心感が低いからこそ、「学校に行きたくない」と感じる子どもたちがいるのです。だから教師の役割は、どの子にとっても安心感のある学級づくりをするということです。

 

 学級に対する安心感を高めるには、道徳授業を効果的に活用することがポイントの一つとなります。そこで、提案したのが、東京オリンピックのスケボー競技の記事を素材として開発した道徳授業です。

 毎回参加しているS君からは次のような学びのレポートが送られてきました(抜粋)。


 休み明けのたるみきった脳みそに「喝」を入れることができる充実した時間でした。

 まず、鈴木先生の講座ですが、学級経営の基礎・基本を三つの視点「教師の信頼感、学級への安心感、授業への期待感」で整理していることが大きいと思います。

 今回は、「教師の信頼感」を基盤として、「学級の安心感」につながっていくという関係づけもされていて、知識の構造化が促されていました。

 授業プランについても、まず、参加者に考えさせて、その上で鈴木先生の授業プランを提示されるので、思考をくぐらせている分、ガツンと印象づけられ、他に応用できる学びにつながっていくのだろうなあと感じました。

 今回も、「そうきたか!」と目からウロコで、「より焦点化したシンプルな授業展開」という授業づくりの思考フレームをゲットできました。

 このような学びが、9月からの学級経営の充実につながっていくのです。


 今回のセミナーで目を引いたのは、海外からの参加者でした。コロナ禍が続く中で、やむを得ずオンラインという形で開催していますが、オンラインだからこそ海外からも気軽に参加できるわけで、コロナが収束しても継続していく意味があると考えています。


漫言放語~ 8月~

ものの見方・考え方を深める

~全国大会における学びから~

SDK代表 鈴木健二

 トヨタの車検の記事を例に挙げ、目的をまちがうと本末転倒になるという話がありました。この話はすべての授業につながると改めて感じました。子どもの学びの姿(どのような変容があったか)をねらいに迫るものとするために、教材分析力を高めることが不可欠ということがよく分かりました。教材分析では、教材の内容ばかりに焦点がいっていたが、「何を考えさせたいのか」と様々な疑問を出す中で見極められるようにしていきたいです。

 第4回SDK全国大会(8月9日開催)の参加者の感想です。

教科書教材を効果的に活用しよう~教材分析力を高める~

という大会テーマで開催しましたが、参加者の深い学びにつながったことが伝わってきます。

 道徳授業では、子どもたちのもっている認識がどのように変容したかが重要です。すでにもっている認識をなぞるような授業では、何の学びも生まれないからです。しかし、子どもの認識の変容を促すことは簡単ではありません。そこで大切になってくるのが、教材分析力です。教材分析力とは、

その教材でどのような認識の変容を促すことができるかを見抜く力

です。

 教材分析力を高めるには、教師自身が「ものの見方・考え方」を深める努力をすることが必要不可欠です。基調講演では、「ものの見方・考え方」を深めるための3つの提案をしましたが、素材の一つとして取り上げたのが、冒頭の感想に取り上げられた新聞記事でした。

 新聞記事も漠然と読んでいては、「ものの見方・考え方」を深めることはできません。

 どのように読むことが大切なのかを理解して読んでこそ、「ものの見方・考え方」が深まっていきます。世の中のできごとを自分なりの視点でとらえるという地道な積み重ねが、教材分析力を高めることにつながっていくのです。

 もう一つ感想を紹介しましょう。


ものの見方・考え方を深めるために、自分自身がその努力をしているかどうか反省しました。地道な努力がまだまだ足りないので、小さな道徳授業づくりをもっとがんばりたいと思います。

 本気で道徳授業に取り組んでいる全国の仲間からの刺激によって、自分自身の課題も見えてきます。全国大会における学びの成果は、今後の道徳授業づくりに大きく生かされていくことでしょう。

※『学級経営に生きる小さな道徳授業』第2巻(日本標準)が発売されました。2学期からの学級経営に役立つ授業プランが満載です。ぜひご活用ください。



漫言放語~ 7月~

教材分析力を高める

SDK代表 鈴木健二

 コロナ禍がなかなか収まりませんが、今年度も各地の小学校や中学校、教育委員会等に招かれて、道徳の研究授業参観・指導助言、講演会などを行っています。

 道徳授業を参観して大きな課題だと感じるのは、


その教材ならではの「ねらい」が設定できていない


ということです。一般的な「ねらい」を設定してしまうと、授業での学びが浅いものになってしまい、子どもたちの心に残りません。

 なぜ「ねらい」の設定がうまくいかないのでしょうか。

 原因ははっきりしています。それは、


教材分析力が弱い


 ということです。その教材でどこが最も重要な部分なのかが読み取れなければ、子どもの認識の変容を促す的確な「ねらい」を設定することはできません。

 では、どうしたら教材分析力を高めることができるのでしょうか。

 重要なのは、

教材を批判的に検討する

ということです。教材分析とは、教材を批判的に検討し、重要な部分を見抜くということなのです。

 教材分析力を高めるのは、少しハードルの高い取組です。しかし、各学校の道徳授業を検討することによって、教材分析力を高めるためのステップが少しずつ明らかになってきています。

 そこで、8月9日(月)に開催予定の新しい道徳授業づくり研究会(SDK)第4回全国大会(会場:愛知教育大学)では、次のようなテーマを設定しました。

教科書教材を効果的に活用しよう~教材分析力を高める~

 基調講演では、このステップをできるだけ活用しやすい形にして提案したいと考えています。さらに、道徳授業に意欲的に取り組んでいる小中学校教師から、小学校低学年、中学年、高学年、中学校の教材をもとに、教材分析力を高めるための実践的な提案が行われます。

 この夏、教材分析力を高めて、2学期の道徳授業の質を高めていきましょう(なお、参加者数を限定していますので興味のある方は、早めの申し込みをお願いします)。



漫言放語~ 6月~

「小さな道徳授業」で協調性を育てる

SDK代表 鈴木健二

 大学院では、学級経営の授業を3名の教師で担当しています。

 K先生が担当した授業では、「子ども同士の葛藤と学級内不和」がテーマとして取り上げられました。「対人葛藤」(人々の間の利害や意見の対立・不一致のことで、「個人の目標が他者の行動によって妨害された状態」)をキーワードに授業が進められましたが、その中で、次のような話がありました。


□ パーソナリティの5因子モデルのうち、協調性が高い個人は、他者との肯定的関係を維持するよう動機づけられているため、他者の利益を考慮した対人葛藤方略を用いる。


 協調性が高いのですから、「他者の利益を考慮した対人葛藤方略を用いる」のは当然のことでしょう。

 しかし、このような知見を知っているだけでは、学級経営をよい方向に向かわせることができません。大切なことは、 


協調性の高い子どもをどう育てるか。


ということです。

 ここで役立つのが、「小さな道徳授業」です。

 4月の漫言放語で紹介した『学級経営に生きる小さな道徳授業』(日本標準)には、「友達を大切にする」というテーマで、10本の授業プランが掲載されています。

 「すなおに言える?」という授業プランでは、ある公民館に掲げられていた次の標語を素材として活用しています。


「ありがとう」「ごめんなさい」

すなおに言える みなとっ子


 この標語をもとに「2つの言葉が素直に言える学級にするにはどうしたらいいか」を子どもたちと考えていく授業です。

 何かあったときに、「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言える子どもたちが増えていけば、協調性の高い学級に育っていくことでしょう。

 「小さな道徳授業」は、5~10分程度で実践できるので、朝の会などを利用して、他の授業プランも活用していけば、「友達を大切にする」意識が少しずつ育ち、学級内不和も発生しにくくなるでしょう。また、学級内不和が発生したとしても、よりよい解決方法を子どもたちが考えていく学級になっていくはずです。

 子どもたちが学級に慣れてきて、気持ちも緩み始めるこの時期、「小さな道徳授業」を活用して学級経営を充実させていきましょう。



漫言放語~ 5月~

学級経営の節目で「小さな道徳授業」を生かす

SDK代表 鈴木健二

 新学年がスタートして一ヶ月あまり、子どもたちの様子はいかがでしょうか。

 ゴールデンウィークもあったので、少し気が緩んでいる子どもたちがいるかもしれませんね。

 学級経営が気になり始めたときに活用したいのが「小さな道徳授業」です。

 4月の漫言放語で、『5分でできる「小さな道徳授業」』第1巻(日本標準)を紹介しましたが、全国各地の小中学校で活用され始めています。

 そこで、SDKでは、学級経営の充実にさらに役立ててもらおうと、第2巻の執筆に取りかかっています。

 今回のテーマは、


 学級経営の節目で活用する「小さな道徳授業」


です。

 学級経営には、次のようなさまざまな節目があります。


・新学年スタートの時期(学級びらき)

・ゴールデンウィーク明け

・6月の中だるみの時期

・夏休み前 など…


 これらの節目で、子どもたちの意識をどう高めていくかによって、学級経営の状況は大きく変わっていきます。学級担任であれば、このような節目をうまく乗り越えて、よりよい学級をつくっていきたいと考えていることでしょう。

 そんなときに役立つのが、「小さな道徳授業」です。

 第2巻には、学級経営の節目で活用できる「小さな道徳授業」を何本も掲載予定です。

 例えば、子どもたちが学級に慣れてきた今の時期に役立つ「小さな道徳授業」としては、「いい笑いと悪い笑い」という授業プランがあります。


・「いい笑いと悪い笑い」にはどんなちがいがあるのでしょうか。

・今の学級には、どちらの笑いが多いのでしょうか。

・子どもたちは、どんな笑いが満ちあふれる学級にしたいと思っているのでしょうか。


 この授業によって、新学年になって一ヶ月あまりが過ぎた自分たちの学級の状況を見つめさせ、今後どんな学級にしていきたいかを考えさせることができます。

 ほとんどの子どもたちは、「いい笑いに満ちた学級にしたい」と考えることでしょう。そしてそのような学級にするために、自分にできることは何かを考え始めることでしょう。

 学級経営の節目で「小さな道徳授業」を活用して、すばらしい学級をつくっていきませんか(第2巻は夏に発売予定です。第1巻と合わせて活用すればさらに効果が高まります)。



漫言放語~ 4月~

「小さな道徳授業」で素敵な学級をつくる

SDK代表 鈴木健二

□ 私が読んでも、子供とのちょっとした会話に役立ちそうな素敵な本ですね。全国の先 生がこちらを使って、授業や日常のなかで児童・生徒さんとの交流が深まり、心の成長 につながると素敵だなと思いました。

□ 「いいなあ」と感動した本の表紙といってもらえて大変光栄です。小中学校の教師の先生向けの本だと思いますが、私たち一般人が読んでも面白いです。日々、小さな発見を写真に撮ったりしてストックしたいと思いました。こんな道徳の授業なら、大人になっても受けたいです。

□ 書籍全体に目を通してみると、教員ではない大人が読んでも十分ためになると感じました。やはり、テーマが「道徳」だからでしょうか。昨今、企業においてはSDGsが重要視されつつありますが、日々の仕事にも道徳観をもって臨んでいければと思います。 (言うのは簡単ですね)


 これは、最新刊『学級経営に生きる「小さな道徳授業」』第1巻(日本標準)に寄せられた感想の一部です。この感想を書いたのは教師ではありません。授業の素材を提供していただいた一般の企業等の方々からの感想なのです。

 特にうれしかったのは、次の言葉です。


こんな道徳の授業なら、大人になっても受けたいです。

right

 一般の大人が読んでも魅力的な道徳授業に見えるからこそ、子どもたちの心に響くのです。

 本書には、誰でもすぐに活用できる「小さな道徳授業」プランが42本掲載されています。 その中の一つに「心もピカピカ」という授業プランがあります。

 ある小学校に掲示されていたスローガンを活用した授業です。「心もピカピカ」という言葉の検討をとおして、「心がピカピカするとはどういうことなのか」「自分の心はピカピカしているのか」を考え、話し合います。結論を出すのではなく、一人ひとりが「心もピカピカ」について自分なりの考えをもつようにしていくのです。

 4月の学級のスタートにあたって、「一人ひとりの心がピカピカする学級にしたい」という意識が高まれば、素敵な学級への第一歩を踏み出すことができます。

 冒頭で紹介した「全国の先生がこちらを使って、授業や日常のなかで児童・生徒さんとの交流が深まり、心の成長につながると素敵だな」という感想のように、本書の授業プランを活用して、素敵な学級がたくさん生まれることを願っています。



漫言放語~3月~

子どもたちを勇気づける道徳授業

SDK代表 鈴木健二

□ 私はコロナ世代にあてはまっている。将来、このコロナ世代という言葉で「コロナ世代だからしょうがない」などと言われたくないと思う。この授業で、この言葉を勲章にできると思った。私はコロナ世代ということだけでなく、他のことにもあてはまると思った。例えば、あきらめないということ。今はこの言葉がいい意味ではないと思われてると思う。でも勲章にできるということは、あきらめずに進んでいけばいいということだと思います。私もあきらめず、これからも頑張りたいと思います。


 ここ数年、ある小学校で6年生を相手に授業をしています。

 卒業を前にした6年生に、これからの生き方につながる授業をしたいという思いを込めています。

 冒頭で紹介した感想は、2月に授業を受けた6年生が書いたものです。

 授業で活用した素材は、「『コロナ世代』の呼び名 勲章に」という朝日新聞の投稿です。投稿したのは、日高さんという小学生です。

 日高さんのメッセージで一人でも多くの小学生を勇気づけたい!と思って創ったのがこの授業です。

 授業で6年生に問いかけたのは、


「コロナ世代」の呼び名を勲章にすることができると思いますか?


ということでした。

 子どもたちは、できるかできないかで熱い議論を繰り広げました。

 さらに次のように問いかけました。


あなたは、「コロナ世代」の呼び名を勲章にするために、何から始めますか?


 この授業を受けた子どもたちは、次のような感想も書いてくれました。


□ コロナという大変な世の中になってしまったけれど、もともと地球はもっと大変で残酷なことがあると、私たちの世界に受け継がれているから、そんなこともあると私は思う。辛いことをがまんして、努力していたら、「あ、そういえばこんなこともあったな」と思える日が私は来ると思う。あと地球は40億年もつと言われていて、その中で私たちがいたのは、つい二千年くらい前なんだから、たぶん、もっとこの先にも、こわいことはくると思うけど、そうであっても、私は生きていたいと思う。


 子どもたちの学びを読んで、勇気づけられたのは、自分の方だったことに気づかされました。この子どもたちは、きっとコロナ禍を乗り越えてたくましく成長していくことでしょう。



漫言放語~2月~

「小さな道徳授業」の質を高める

SDK代表 鈴木健二

 F小学校(私が研究に関わっている学校)で、興味深い研修会が開催されました。

 「小さな道徳授業」づくりの研修会です。

 F小学校では、「小さな道徳授業」を道徳教育や学級経営の充実に生かそうと取り組んでいます。そして今回の研修会は、「小さな道徳授業」をよりよいものにしたいという思いから企画されました。

right

 研修会までに、全教師が作成した「小さな道徳授業」指導案が、右のような冊子にまとめられました。

 研修会は次のように進められました。

①  指導案集の中から、3つの素材を選び、グループごとに活用方法を検討する。

②  その素材を活用した指導案を読んで、検討 結果と比較して学ぶ。

③  鈴木によるアドバイスを聞いて、「小さな道徳授業」についての理解を深める。

 ①②を受けて次のテーマで話をしました。


質の高い「小さな道徳授業」を創る

      

 F小学校は、10月に研究発表会を予定しており、「小さな道徳授業」への取組も研究の特色として打ち出そうとしています。

 指導案集を見ると、なかなか良い素材が活用されています。良い素材を発見する感覚が確実に高まっていることを感じました。

 ですから、F小学校の今後の課題は、良い素材をどのように活用すれば、「小さな道徳授業」の質が高まるかということです。

 そこで、質の高い「小さな道徳授業」の条件として以下の5つを提案し、指導案集の中の一つの素材を取り上げてどんなプランにするとよいかについてアドバイスしました。

① 魅力的な教材

② 明確な「ねらい」の設定

③ 問題意識を高める教材提示

④ 「ねらい」に迫る発問の工夫

⑤ 意識を持続させる工夫

 指導案集の表紙に「1」と記してあることに気づかれたでしょうか。おそらく「2」「3」が作成されていくのだと思います。

 この5つの条件を意識しながら創られる今後の「小さな道徳授業」プランに大きな期待がふくらむ研修会でした。



漫言放語~1月~

コロナ禍における道徳授業の重要性

SDK代表 鈴木健二

 新年最初の仕事は、熊本から始まります。それが20年以上続いています。

 今年も、熊本のセミナーで幕を開けました。コロナ禍の中での対面セミナーなので、細心の注意を払って開催されましたが、対面セミナーの良さを改めて感じた一日となりました。

 私が依頼されていたのは、次の2つのテーマです。


 ①  コロナ禍における道徳授業の要諦

 ② 「コロナ禍だからこそ」スペシャル模擬授業


 やはりコロナ禍からのスタートとなりました。

 ①で話したのは、次の3つです。


 ・ コロナ禍によって学級経営にマイナスの影響が出やすくなっていること

 ・ 学級経営にマイナスの影響が出ると授業の質が低下してしまうこと

 ・ そのような状況になることをできるだけ未然に防ぐためには、道徳教育が重要になること


 道徳授業プランの例として提案したのが、「やさしさはみんなにおくるプレゼント」というポスターを活用した授業です(名古屋市・名古屋市教育委員会・愛知人権啓発活動ネットワーク協議会)。「みんなに」という言葉の意味を子どもたちと考えていくことが授業の大きなポイントになります。

 「やさしさ」に対する認識が深まれば、学級経営がプラスの方向に進むはずです。それがコロナ禍によってマイナスの影響が出ることを未然に防ぐ力となっていくことでしょう。

 参加者からは次のような感想が寄せられました。


□ 鈴木先生の講座では、コロナ禍の道徳授業で大切にしなければならない視点を学びました。それは、「先手をうつ」です。私は、「コロナによるいじめや差別が学級でも起きたらどう対応しよう」という意識しかありませんでした。そのため、問題に手をうつ道徳授業のことばかり考えていました。この言葉を聞いたときハッとしました。私は、子どもたちを育てる機会を逃していたと気づいたのです。鈴木先生は、いじめや差別の先手として、やさしさの認識を深める道徳授業を提案されました。今後は、この提案を参考にして「先手をうつ」道徳授業を考えていきたいと思いました。


 コロナ禍だからこそ、子どもたちが学べることはたくさんあるはずです。

 SDKでは、今年も道徳授業を活用して子どもたちの学びを深めていきます。



漫言放語~12月~

看護学校でも生かせる「小さな道徳授業」

SDK代表 鈴木健二

 毎年秋に、看護学校の教師をめざしている方々に、「学級経営の基礎・基本」という授業をしています。受講生は、全国各地からやってきた看護師経験のある方です。

 最初依頼されたときには、なぜ看護学校で「学級経営の基礎・基本」が必要なのだろうと思いましたが、話を聞いてみると、看護学校でも学生の指導が難しくなってきていて、学級経営を学ぶ必要性があるのだということでした。

 受講生は、学ぶ意欲に満ちていて、今では毎年行くのが楽しみになっています。

 授業では、「子どもの成長を促す学級経営の基礎・基本」として次の3点を示し、具体的な事例をもとに議論します。

 ① 教育目標で育てる

 ② 日々の教育活動で育てる

 ③ 道徳教育で育てる

 この中で特に関心をもってもらえるのが道徳教育です。

 人の命をあずかる看護師にとって道徳教育は重要だと感じてもらえるからでしょう。

 看護学校には道徳授業はありませんが、道徳教育を行うことは可能です。

 その道徳教育の大きな武器になるのが、「小さな道徳授業」です。

 「小さな道徳授業」とは、5~15分程度でできる短時間の道徳授業です。

 教師がいいなあと思った素材を提示して、発問を一つか二つ工夫すれば、誰でもすぐに行うことができます。

 授業の休憩中に、トイレでたまたま見かけたシールを紹介して、こんなものでも教材にすることができるという話をしました。そのシールには、お風呂の中で水の使い道をあれこれ考えているイカのイラストとともに次の言葉がありました。

 「考えよう!水をイカす使い方!!」

 何気ないシールですが、うまく活用すれば、子どもたちに水の大切さを意識させることができます。

 短時間でできる「小さな道徳授業」は、朝のちょっとした時間などを活用して行うことが可能です。道徳授業がない看護学校でも、生き方を学生と一緒に考える時間をつくることができるのです。

 授業の後半では、ある教材をもとに「小さな道徳授業」プランをつくってもらいましたが、授業経験がほとんどない受講生でも、さまざまなアイデアを出すことができました。いいなあと思える素材さえ発見できれば、自分でも「小さな道徳授業」プランをつくることができると感じてもらえたようです。

 今後、看護学校にも「小さな道徳授業」が広がっていくのではないか、という手応えを感じた一日でした。



漫言放語~11月~

ある中学校の挑戦

SDK代表 鈴木健二

 10月下旬、愛知県のI中学校が道徳教育の研究発表会を開催しました。

 I中学校の道徳授業づくりのベースになったのは、次のような考え方です。

① その教材ならではの「ねらい」を設定する

② 教材に興味をもたせる

③ 思考を刺激する発問を工夫する

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④ 身近な問題として意識づける

 これは、新しい道徳授業づくり研究会(SDK)で取り組んでいる道徳授業づくりの基本です。

 この考え方をもとに学校全体で取り組み、質の高い道徳授業を公開しました。

 特筆すべきは、I中学校が参加者に素敵なお土産を用意していたことです。

 それが、『朝道徳実践集』です(右写真)。

 これは「小さな道徳授業」の実践集です。

 I中学校では、全学級で「小さな道徳授業」に取り組んできました。その実践を集大成した冊子を作成したのです。

 この冊子には、次のような特徴があります。

① すべての内容項目を網羅している。

② 誰でもすぐに実践できるように、授業プランが示されている。

③ 思実践者による手応えや授業のコツなどが示されていて実践するときの参考になる。

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 研究発表会に参加した教師は、この冊子をもらうことができただけでも大きな収穫になったはずです。

 道徳教育を研究している学校だからできる道徳授業ではなく、誰でも取り組むことのできる実践的な提案をしたい、という思いが凝縮された冊子となりました。

 I中学校の研究に2年間関わってきた私も、教科書教材部会の助言者として参加しましたが、大きな満足感を得ることができました。

 SDKで取り組んでいる道徳授業づくりの基本には、学校全体の道徳授業を大きく変える力があることを改めて感じることのできた一日となりました。



漫言放語~10月~

オンラインセミナーで学ぶ

SDK代表 鈴木健二

 コロナ禍で、対面によるセミナーや研修会の開催が難しい状況が続いています。そこで、オンラインによるセミナーや研修会を行っています。オンラインでは講師と参加者が同じ空間にいないので、参加者の表情やつぶやきなどがとらえにくく、臨機応変の展開ができないという弱点があります。しかし、オンラインだからこそのよさもいくつか発見することができました。


① 遠隔地に住んでいてセミナー会場までなかなか足を運べない人や、家庭の事情などで家を空けることが難しい人も、気軽に参加できる。

② チャット機能などを活用することにより、一人一人の考えを全員で共有できる。

③ プレゼンテーションの画面を自分のパソコンで間近に見ることができるので、内容を把握しやすい。


 9月初めに開催された「第6回感性を磨くセミナー」には、九州から北海道まで、日本各地の教師が参加しました。参加者の学びのレポート(セミナーの学びを分析してレポートにまとめる参加者が何人もいます)から、いくつか紹介しましょう。

 まずは、中堅教師Sさんです。


□ コロナ禍にあっても、学びを止めない、歩みを止めないSDKに参加してよかったと心から思います。今年度、前年度学年崩壊した子どもたちの学級担任をしながら、道徳を軸にした学級づくりに確かな手応えを感じています。

  

 Sさんは、「コロナ禍だから何もできない」ではなく、「コロナ禍の中で何ができるか」を考えることが大切であることを感じ取っています。そして学びを学級経営に生かしています。学びを止めない教師だけが子どもを成長させることができるのです。

 

 次に若手教師Nさんです。


□ チャットでたくさんの人の意見を見ることができたり、グループセッションで他の先生方と意見交流することができたりと、オンラインならではの学び方もあり、大変勉強になりました。オンラインにはオンラインの良さがあるのだと感じさせられました。


 Nさんは、対面のセミナーに何度も参加している教師です。そのNさんが、オンラインセミナーに参加したからこその学びを発見しています。まずは参加してみること、それが新たな学びにつながります。

 今後もSDKでは、学びたい教師の熱い思いに応えるセミナーを開催していく予定です。



漫言放語~9月~

「小さな道徳授業」を学級経営に生かす

SDK代表 鈴木健二

 すべての子どもが幸福に育つ環境はおそらく存在しない。

 だけど子ども時代の幸福な記憶は一生の宝物になる。

 子どもたちがそんな日々を過ごせるよう切に願い手を差し伸べる。

 それは全人生をかけるだけの価値がある仕事だ-と。


 これは、『リエゾン-こどものこころ診療所-』(講談社)という漫画(テーマは発達障害)のある場面の言葉です。

 ここで取り上げられているのは、ある小児科医の言葉ですが、私たち教師にもそのまま当てはまるのではないでしょうか。

 児童虐待など、子どもたちのさまざまな問題が報道されているように、「すべての子どもが幸福に育つ環境はおそらく存在しない」のです。だからこそ、「子ども時代の幸福な記憶は一生の宝物になる」という言葉が響いてきます。

 私たち教師の仕事は、


 せめて学級にいる時間だけは、「幸福な記憶」をつくり、「一生の宝物」になるようにすること


ではないでしょうか。

 そして、そのような仕事は、全人生をかけるだけの価値があるのです。

 すべての子どもたちに、「幸福な記憶」をつくってあげることは簡単なことではありません。しかし、このような意識をもつ教師でなければ、教育の質を高めていくことはできないでしょう。

 その鍵を握るのが道徳教育だと考えています。

 今年は、コロナ禍のため、学級経営がいつもより難しくなっているという声も届いています。だからこそ、子どもたちの心に響く道徳授業が、大きな効果を生むのではないでしょうか。

 SDKでは、そのような道徳授業を生み出すために「小さな道徳授業」ゼミを行っています。7月に開催された第4回ゼミでは、16本の「小さな道徳授業」プランが提案されました。次のような素材が活用されていました。


 「目指すなら、100点より、100%」(東京海上日動)

 「走ったことがない距離だから決めた!」(愛媛トヨタ)


 これらの素材を効果的に活用するための授業プランが提案され、会員で意見の交流を行い、さらにプランをブラッシュアップさせていくのです。

 夏休み明けの子どもたちのモチベーションを高める効果が期待できそうです。 



漫言放語~8月~

教科書教材の効果的な活用に挑戦する

~第3回SDK誌上全国大会~

SDK代表 鈴木健二

 新型コロナウイルスの影響で、全国大会を誌上で行うことになりました。

 次のような大会テーマを設定しました。


『認識の変容を促す教科書教材の活用 ~4つの視点からのアプローチ~』


 道徳が特別の教科となり、多くの小中学校では教科書が使われていますが、あまり効果的に活用されているとは言えない現状があるからです。

 その原因の一つとして考えられるのが、


 どのように教材研究すればいいかわからない


ということです。

 そこで、冒頭に示したようなテーマを設定し、教科書教材を効果的に活用する方法を追究することにしたのです。

 会員からは、小学校から中学校までのさまざまな教科書教材を活用した実践例や授業プランが提案され、100ページほどの冊子が完成しました。どのページを開いても実践にすぐ役立つ提案が満載されています。

 教科書教材を効果的に活用するポイントは次の4つです。


① その教材ならではの「ねらい」を設定する。

② 教材に興味をもたせる。(問題意識を高める)

③ 思考を刺激する発問を工夫する。

④ 身近な問題として意識づける。


      

 ポイントはわかっていても、それを実際の授業づくりにうまく活用できるかどうかは、教師の力量次第です。今回の誌上全国大会では、会員が、4つのポイントを意識しながら教科書教材の効果的な活用に挑戦しています。

 これらの提案から、教科書教材を効果的に活用するための新たな視点も見えてきそうです。

 誌上全国大会では、「小さな道徳授業」プランも数多く提案しています。

 「小さな道徳授業」プランづくりも、教科書教材の効果的な活用につながる重要な視点を含んでいるからです。

 SDKで教科書教材を効果的に活用する力量を高め、子どもにとって意味のある道徳授業づくりに挑戦していきましょう。



漫言放語~7月~

元気の出る話

SDK代表 鈴木健二

 コロナウイルスの報道が連日長時間流されています。気が滅入るニュースが多い中で、ちょっと元気をもらえるニュースもあります。

 例えば、


ベルギーの老人ホームで高所作業用のクレーンが大活躍をしている


というニュースです(「羽鳥慎一のモーニングショー」テレビ朝日2020年4月28日放送)。

 高所作業用のクレーンが老人ホームで何をするのでしょうか。

 何と、コロナウイルスの影響で面会が禁止になっているお年寄りと家族が窓越しに会えるようにしているのです。

 このアイデアを思いついたのは、コロナウイルスの影響で仕事が減っている機材のレンタル業者です。老人ホームの前で大声で叫ぶ家族の姿を見て、自分の機材が役立つと考え、このようなことをやっているのです。この人は、面会できたことを喜んでいる人たちを見て、自分自身も元気をもらっているのではないでしょうか。

 仕事が減っているのにも関わらず、誰かのためにすばらしい発想で自分ができることをしている人がいるのだと知って、元気をもらいました。

 ここから学べるのは、


自分にできることを少し工夫して生かせば、誰かのためになる行動につながる


      

ということです。

 そこで、次のような「小さな道徳授業」プランを考えてみました。


①  ビルの窓にクレーンが人を乗せて近づいている写真を見せて、「気づいたこと、考えたこと、はてなと思ったこと」を発表させる。

②  老人ホームの建物であることを知らせたあと、「“1ヵ月ぶりの笑顔”家族が窓越しに再開」という言葉を提示し、いったい何をしている場面なのか話し合わせる。

③  場面の説明をしたあと、レンタル業者の人から学べることを話し合わせる。

④  学んだ考え方をどのように生かすことができそうかを考えさせる。


 素敵な人のニュースを発見して教材化し、子どもたちを元気づける授業をしたいですね。



漫言放語~6月~

教師自身の価値観を深める

SDK代表 鈴木健二

 私たちは、「障害者」「健常者」という言葉をあまり違和感を持つことなく使っています。それは、いつの間にかそのような価値観を植え付けられているからではないでしょうか。

 このような現状に違和感を持つ広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館)は、次のような提案をしています(「障害者は弱者か 視覚偏重社会に問う」朝日新聞2020年5月27日)。


□ 「健常者」を「見常者」に、「視覚障害者」を「触常者」に呼びかえ、食文化ならぬ「触文化」を構築してはどうか。


 「触常者」という言葉を聞いて、そのようなとらえ方があるのか、と目から鱗が落ちる思いでした。

 広瀬氏は言います。

 「たとえば視覚障害者は触覚や聴覚が研ぎ澄まされている。視覚優先の社会ゆえに失ったもの、むしろ目が見えるゆえに気づかない世界もあるのでは。さわることで、より深く理解できるものもある」

 このような考え方に触れると、自分自身の価値観が揺さぶられます。

 大学院で「道徳教育の理論と実践」という授業を担当しています。

 第1回目の授業では、「質の高い道徳授業をするためには、教師自身の価値観を深めることが大切だ」という話をします。すると、大学院生から、次のような質問が出されます。


□ 価値観を研ぎ澄ましたり、良い着眼点を得たりするために日頃からできることは何でしょうか。


 私は、次のように答えます。


自分にはない新たな考え方を学び続けることでしか、価値観を深めていくことはできない。


 前半で取り上げた広瀬氏の話からも「自分にはない新たな考え方を学ぶ」ことができます。このような小さな学びの積み重ねが、自分自身の価値観を深めることにつながっていくのです。このような小さな学びの積み重ねが、自分自身の価値観を深めることにつながっていくのです。

 ここで述べたのは当たり前のことですが、このようなことを意識している教師はあまり多くないように思います。

 新型コロナウイルスの影響で、世の中では思いもよらなかった出来事が起きています。

 教師自身の価値観を深めていく貴重な機会ととらえてはどうでしょうか。



漫言放語~5月~

コロナで見えてきたこと

SDK代表 鈴木健二

 ただでさえマスクをする人が多かった日本人ですが、コロナウイルスの影響でさらにその着用率が高まっています。今や付けていない人が肩身の狭い思いをしなければならないほどです。

 しかし、マスク着用が広がるという状況に困っている人がいます。

 それは、聴覚障害者の方々です。

 新聞に次のような見出しがありました(毎日新聞2020年4月20日)。


「レジで、会議で、誰が何を…」聴覚障害者につらいマスク、テレワーク 


 この記事では、次のように伝えています。


□ 新型コロナウイルスの感染拡大で当たり前となった、マスクの着用やソーシャルディスタンシン
グ、在宅でのテレワーク……。しかし、口の動きを読み取ることでコミュニケーションを補ってきた耳の不自由な人たちは「スーパーや病院で誰が何を言っているかわからない」「ビデオ会議の画面は見づらく詳細が把握できない」と困惑している。


 マスクの着用が当たり前になりつつある世の中で、私たちが気づかないところで困っている人がいるわけです。

 道徳授業では、障害のある人を取り上げることもありますが、それにも関わらず、自分の想像力の乏しさに愕然とした記事でした。

 このような状況に対して、早速動く方々もいます(毎日新聞2020年5月5日)。


手話通訳者が透明マスク開発 市販のビニール製封筒活用 山形


□ 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、山形市役所で手話を使う同市身体障害者福祉 協会の職員
2人が、マスクを外さずに手話ができるようにと、ビニール製の透明なマスクを手作りで作製した。耳が不自由な人たちとの会話は口の動きなど、表情を伝える必要があるため考案した。


 このような事実を知ると、物事の見方・考え方が変わります。自分になかった新たな視点を学ぶことができます。

 ここで挙げた事例のように、コロナウイルスがもたらした社会状況の中から、学ぶべきことがいくつも発見できます。

 コロナで見えてきたことを教材にして子どもたちと議論していくことが、今後の生き方に大きな影響を与えることになるのではないでしょうか。




漫言放語~4月~

成長したいと願う教師のための研究会

SDK代表 鈴木健二

 SDKを立ち上げたのが、昨年の4月27日でした(SDK発足記念の第1回全国大会を開催)。

 あれから一年が経とうとしていますが、この間、次のような動きがありました。

 ① 全国大会の開催(4月と8月に開催)

 ② 支部大会(大阪・福岡)の開催(コロナウイルスの影響により延期)

 ③ 会員数の増加(当初の目標に近づいています)

 ④ 全国各地に支部が発足(大阪、福岡、熊本、大分、宮崎など)

 ⑤ 機関誌『談論風発』の発行(年3回)

 ⑥ メールマガジンの発行(年4回・会員限定)

 ⑦ 定例会の開催(2ヶ月に一回開催・会員限定)

 SDKで重視していることの一つが、


 質の高い道徳授業をつくることのできる教師を育てる


ということです。

 教師を育てるためには、次の三つが大切だと考えています。

 A 誰でも取り組める授業づくりのステップの提案

 B 授業づくりのステップを活用したすぐれた授業の提案

 C 自分の授業を提案し検討する場の設定

 Aは、これまでほとんど提案されてきていません。だから道徳授業をどうしたらいいかわからない教師が圧倒的に多いのです。全国大会や支部大会では、道徳授業初心者にもわかりやすく、すぐに役立つ提案をしています。

 Bについては、全国大会や支部大会で、すぐれた実践を生み出している会員が魅力的な提案をするとともに、機関誌やメールマガジンで、多様な授業実践を誰でも追実践できる形で発信しています。

 そして、特に大切なのがCです。

 理論やすぐれた授業実践を学んでも、自分の授業に生かすことは簡単なことではないからです。学ぶ意欲の高い教師の前で自分の授業を提案し、厳しい検討を行うことによって初めて自分の課題が見えてくるのです。この検討の場の中心的な役割を果たしているのが定例会です。定例会に継続して参加することによって、自分の実践が客観的に見えてくるようになります。

 新年度がスタートしました。新たな企画も進んでいます。

 本気で成長したいと願っている多くの教師の参加を待っています。




漫言放語~3月~

新聞と道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 大分県中津市で大分県NIE実践研究会とコラボしたセミナーが開催され、「新聞と授業づくり~考える力を育てる~」というテーマで講演しました。

 新聞は、各教科等の授業に活用できる素材の宝庫です。

 中でも、「特別の教科 道徳」は、新聞記事を活用しやすい教科の一つです。

 とはいうものの、今回のテーマには、「考える力を育てる」というサブテーマがつけられています。ただ新聞記事を活用すればよいというのではなく、「考える力を育てる」ことにつながる授業づくりについての提案が求められているわけです。

 当たり前のことですが、授業をすれば子どもが考えるわけではありません。

 そこで大切になってくるのが、子どもたちが考えたくなるような仕掛けです。

 講演の中で活用した新聞記事の一つが、


自分のゴミ、責任持とう


という日本に15年以上住んでいるという外国の方の投稿でした(讀賣新聞2020年2月12日)

 題名を見て、どんな内容が書いてあると予想されるでしょうか。

 実は、ほとんどの人の予想を覆す内容が書いてあります。

 この題名をうまく活用することによって、子どもたちに興味をもたせるとともに思考を促すことが可能になります。

 このような授業を受けると子どもたちは考えることの楽しさを感じます。

 これが、「考える力を育てる」第一歩となるのです。

 もう一つ準備していたのが(時間の都合で扱えませんでしたが)、「東京五輪・パラ大会モットー決定」という新聞記事です(毎日新聞2020年2月18日)です。

 この記事には、次のようなモットーが大きな文字で書かれていました。


United by Emotion(感動で、私たちは一つになる)


 このモットーの言葉だけでも、子どもたちの思考を促す授業をつくることができます。

 思考を促されると、ほかの人の考えも聞いてみたくなります。

 ここから交流が始まります。

 講演会でも、参加者(小中学校の教師の中に、一人だけ中学2年生が参加していました)は、投稿の記事をめぐって、さまざまな意見の交流をしました。

 新聞記事から、子どもたちが本気で考えたくなる道徳授業を開発することも、SDKの重要な取組の一つです。


漫言放語~2月~

質の高い道徳授業をめざして

~支部大会で学び合おう~

SDK代表 鈴木健二

 2月、3月と立て続けにSDK支部大会が開催されます。

 支部大会は、各支部が独自に運営する大会です。

 本部事務局は協力はしますが、一切口出しはしません。

 支部会員が学びたいことを自由に企画できるところが魅力です。


2月29日(土)大阪支部大会 大会テーマ『子どもの変容を促す道徳授業とは』


 子どもたちの認識の変容を促すことができなければ、道徳授業をする意味がありません。

 現在小中学校で行われている道徳授業の多くは、子どもたちがすでに知っていることをなぞるだけの内容になっています。これでは、せっかくの道徳授業が子どもたちにとって意味のあるものになりません。

 「どうしたら子どもたちの認識の変容を促す道徳授業をつくることができるのか」

 この重要なテーマに挑戦するのが、大阪支部大会です。小さな道徳授業、教科書を活用した道徳授業の2つの視点で、子どもの認識の変容を促す道徳授業のあり方について検討します。

 私も最近参観した道徳授業をもとに、このテーマに迫る予定です。


3月29日(日)福岡支部大会 大会テーマ『子どもの思考を揺さぶる道徳授業とは』


 多くの小中学校が、「考え議論する道徳」を研究テーマに掲げて取り組んでいますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。何でも考え議論すればいいというわけではないからです。重要なのは、

 「何を考えさせるのか」「何を議論させるのか」

ということです。

 この「何を」という部分の検討が十分なされなければ、「考え議論する」意味が弱くなってしまうのです。

 福岡支部大会では、子どもの思考を揺さぶる道徳授業のあり方について、小さな道徳授業、教科書教材、開発教材の3つの視点から、数多くの実践的提案が予定されています。

 二つの支部大会は、新年度に向けて道徳授業の質を高めたいという意欲をもっている教師にとって、貴重な学びの場となるはずです。子どもたちにとって意味のある道徳授業をつくりたいと願う全国の教師との出会いも貴重な体験となることでしょう。


※ 支部大会ではありませんが、2月22日(土)は、大分県中津市で大分県NIE実践 研究会とコラボしたセミナーが開催されます。道徳授業づくりのポイントや素材研究の基本、新聞を授業にどう活用するかなどについて学びを深めます。

漫言放語~1月~

SDKを立ち上げた志

SDK代表 鈴木健二

 1月はじめに熊本市で道徳セミナーが行われました。

 20年以上にわたって講師を務めていますが、今年も満員御礼でした。

 毎年のことですが、事務局のS先生の奥様と娘さん(お二人とも教師)が、受付で参加者に丁寧な対応をされていました(お二人は終日最後尾の受付席で講座を聴かれています)。このような人たちに私たちは支えられています。

 このセミナーの第一回がスタートしたのは、私が精神的に落ち込んでいた時期でした。

 主催者のM先生から、職場に講師依頼の電話がかかってきたときのことを昨日のことのように覚えています。このセミナーの講師を引き受けたことが、立ち直るきっかけになっていきました。現在の私の原点とも言えるセミナーです。


 今回のセミナーで依頼されたテーマは、

 SDKを立ち上げた志

でした。

 講演時間をまるまるSDKの魅力を伝えるために使えるということです。

 M先生の粋な計らいをうれしく思うと同時に、SDKなんてまったく知らない参加者にしっかりと魅力を伝えなければと身が引き締まりました。

 SDKを立ち上げた志を一言で言うなら

 子どもにとって意味のある道徳授業をつくる

ということです。

 「子どもにとって意味のある道徳授業」とは、「子どもたちがこれから生きていく上で何らかの支えになる授業」ということです。

 しかし、現在行われている道徳授業の多くは、「あまり印象に残っていない」(北海道の高校生の声)、「新しいことを学んだという記憶がない」(三重県の高校生の声)という状況に陥っているように思えます。

 このような現状を少しでもよい方向に変えていきたい。

 これがSDKのめざしていることです。


 さて、セミナーでSDKの魅力は伝わったのでしょうか。

 私の話のあと、入会希望者が相次ぎました。

 この熱気は懇親会場にも引き継がれ、ここでもセミナー会場以上の入会希望があり、何とかM先生の配慮に応えることができたようです。

 2020年、熊本セミナーで幸先のよいスタートを切ったSDK。

 会員とともにさらに質の高い道徳授業の提案をしていく予定です。

 私たちと一緒に、子どもにとって意味のある道徳授業づくりにチャレンジしませんか。

漫言放語~12月~

教材の本質が見えていないという自覚をする

SDK代表 鈴木健二

 全国各地で道徳授業を参観します。

 参観しながら感じるのは、


 教材の本質が見えていないまま授業をしている教師が多い


ということです。

 残念ながら多くの教師は、そのことに気づいていません。

 なぜ気づかないのでしょうか。

 次のような点が原因として挙げられます。


① 小中学生用の教材だから、教師である自分には十分読み取れていると思っている

② 教科書会社が示している内容項目に縛られてしまい、それ以上教材の本質を見よ

  うとしない


 ある大学院生の授業を参観して指導する機会がありました。

 授業の素材は絵本です。

 自分がいいなあと思った絵本を教材化して授業を行ったのです。このようなチャレンジ

をする姿勢がすばらしいと思いました。

 授業を参観したあと、いくつかの課題を指摘したのですが、特に今後の重要な課題とし

て「この絵本の本質が見えていない」という指摘をしました。教材として活用された絵本

の本質について私なりのとらえ方も話しました。

 すると、その大学院生は涙ぐみながら次のように言ったのです。

「私は教材の本質がなかなか見えないんです。だから授業をしたくないんです。授業が苦

手なんです」

 自分の授業が思うようにいかなかったことがよほど悔しかったのでしょう。

 しかし、この大学院生はすでに一歩踏み出しています。

 教材の本質が見えていないという自覚のない教師が多い中で、自分は見えていないという自覚をしているからです。

 どうしたら教材の本質が見えてくるようになるのでしょうか。

 その第一歩は、


 自分には教材の本質が見えていないという自覚をする


ことです。このような自覚があれば、教材の本質が見えるようになるための努力が始まるからです。

漫言放語~11月~

生徒が変わる道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 ある中学校で道徳授業をしました。

 授業前に学級担任から、学級の様子について説明を受けました。

 それによると、中学校入学以来、授業中全く発言しない生徒(A君)が一名いて、先日担

任が行った授業でも、指名したら固まってしまい、周りの生徒がサポートしてくれた場面が

あったとのことでした。

 ですから、その生徒に留意して授業を進めた方がよいのではないかという話でした。


 授業のテーマは、「人生を切り開く大切な力」。

 小さな道徳授業を3つ組み合わせて構成した授業です。

 小さな道徳授業は、10~15分くらいのちょっとした道徳授業なので、共通するテーマ

の小さな道徳授業をいくつか組み合わせて構成すると一時間の道徳授業をつくることも可

能です。複数の教材の共通点や相違点を考えさせることによって、思考を深めることができ

る上に、短時間で教材が変わっていくので、生徒の集中力も途切れにくくなります。


 いよいよ授業が始まりました。

 授業序盤の生徒の反応を見て、とてもよい雰囲気の学級だなと感じました。

 A君に留意しつつ授業を進めていましたが、終盤になって指名してみることにしまし

た。授業ではペアで話し合ったり、自由に歩き回って交流したりする場面をつくっていた

のですが、その時の様子などを見ていると、発言しそうな気がしたのです。100%の確

信があったわけではないので、発言できない場合には、別の対応をすればよいと考えてい

ました。

 A君の座っている列を指名しました。

 前に座っている生徒から発言し始めます。

 いよいよA君が立ち上がりました。

 どうなるだろうと思って見ていると、しっかりした声で自分の考えを発言したのです。

 この授業で最もうれしい瞬間でした。

 中学校に入って一年半、教室で一度も発言したことのないA君が、突然やってきて授業を

した教師の前で発言したのです。


 数年前、熊本県の中学校で授業をしたとき、ある生徒の発言に対して、

「あなたの考えはとても深いですね」

 と言ったことがありました。授業後、特別支援学級に在籍している生徒だったことがわか

りました。参観していたその学校の教師は、生徒の様子を見て驚いていたそうです。

 考えたくなるような道徳授業、発言したくなるような道徳授業をすることによって、生徒

は大きく変わるのです。

 この授業がA君の人生を切り開く小さなきっかけにでもなるといいなと思いました。

 私の記憶に深く刻み込まれる授業の一つになりました。

漫言放語~10月~

道徳授業のチカラ

SDK代表 鈴木健二

 先日、ある中学校の研修会に行ってきました。

 2年間にわたって道徳教育の研究を積み重ねてきた中学校で、昨年度の研究発表会には

全国から多くの参観者が訪れました(研究には私も2年間関わりました)。

 「今年度もさらに研究を深めていきたい」という意欲を多くの教師がもっていて、継続し

てきてほしいということで訪問しました。

 1年生から3年生まで授業を3つ参観したのですが、次の点がどの学級にもしっかり根

付いていることを実感しました。


 ① 教室に温かい雰囲気が漂っている

 ② 生徒の学びに向かう姿勢が積極的である

 ③ 自分の考えをきちんと書くことができる

 ④ 発表するときに、自分の考えを伝えようとする意識が感じられる

 ⑤ 友だちの意見にしっかり耳を傾けている


 この中学校は、道徳授業の充実に2年間取り組んだことによって、思わぬ効果も表れま

した。

 それは、学力がかなり向上したということです。

 先に挙げた5つが学級に根付くことによって、各教科の授業の効果も上がるようになっ

right

たのでしょう。

 道徳授業の効果を高めた要因はもう一つあ

ります。

 それは、


小さな道徳授業に全校で取り組んだこと


です。

 右の写真は、今回訪問したときにいただい

た「小さな道徳アイデアシート」というファ

イルです。独自に開発した教材や授業プラン

が満載です。この中学校では毎週水曜日の朝

の時間に、全校で小さな道徳授業に取り組ん

でいます。

一時間の道徳授業との相乗効果で、大きな

成果につながったのです。

漫言放語~7月~

定例会で学ぶ!

SDK代表 鈴木健二

 6月に、SDKの第一回定例会(会員限定の研究会)を開催した。

 大阪や福岡からも参加があり、なかなか刺激的な内容となった。

定例会の目的は次の3つである。


 1 道徳授業づくり理論の確立

 2 道徳授業づくり上達論の確立

 3 SDK版「道徳教科書」の開発


 1について。

 全国各地の小中学校や教育委員会の研修会で講演をするときに、次のような問いかけを

する。


 自分が道徳授業をつくるときの基礎・基本はこれだというものがありますか。


 多くの教師は、自信なさそうな表情を浮かべる。

 道徳授業をどのようにつくっていけばいいのか、よくわからないのである。

 これでは、キャッチボールもうまくできないのに、野球の試合に出るようなものである。

 定例会では、このような現状を改善するために、会員の実践的な研究をとおして、道徳

授業づくりの理論を確立していきたいと考えている。

 2について。

 道徳授業づくりの理論を学んだからといって、すぐに授業が上達するわけではない。

 わかることとできることは別のことだからである。

 そこで、定例会では、どうすれば道徳授業づくりが上達するのか、会員の実践や授業プ

ランの検討をとおして追究していく。今回の定例会でも、参加者全員が実践レポートや授

業プランを提案し、学べる点や改善点を検討した。

 3について。

 道徳の教科化に伴い、教科書が使われるようになった。しかし、多くの教師の教科書に

対する評価はあまり高くないように感じる。今後、教科書も少しずつ改善され、質の高ま

りも期待されるが、それを待っているだけでは、現状はなかなか改善されない。そこで、

SDKでは、独自の教材の開発も視野に入れている。その中心となるのが、定例会である。

 次回の定例会は、10月を予定している。

 テーマは、


小さな道徳授業の教材開発の可能性を探る


である。定例会参加者から、数多くの素材が提案されることになっている。


【全国大会のご案内】

 8月18日(日)に開催される全国大会では、会員の自由研究発表や小さな道徳授業の

レポートの提案と検討、先進的な取組をしている会員の講座が行われる。二学期の道徳授

業の充実に向けて、大きな学びの場となるはずである(満席まであとわずかです)。

漫言放語~5月~

SDK、ついに始動!

SDK代表 鈴木健二

 第一回SDK全国大会(発足会)が開催された。

 10連休の初日にもかかわらず、熊本、長崎、兵庫、大阪、神奈川、三重、愛知など、

日本各地から、新しい道徳授業づくりに高い関心をもつ教師が集まった。教師以外にも、

教育書出版社、読売新聞、教科書会社の方なども参加され、SDKの活動に対する関心の

高さを感じた。

 全国大会の冒頭は、「小さな道徳授業対決」というちょっと刺激的な企画だった。

 「小さな道徳授業」は、これからの道徳授業を子どもたちにとってよりよいものにして

いくための土台となるものであり、SDKの重要な取組の一つである。

 その「小さな道徳授業」の模擬授業を3名の教師が提案し、どれがよかったかを参加者

が協議するという企画である。

 提案された授業のテーマは、次の3つ。

 A 挨拶の意義…素材:野口芳宏氏の著書

 B 整理整頓の意味…素材:学級の生徒のロッカー

 C 成功するための思考方法…素材:Eテレの番組

 書籍、学級の実態、テレビ番組など、素材をいろいろなところから発見し、活用してい

ることがわかる。これが「小さな道徳授業」のよさであり、おもしろさである。朝の会な

どのちょっとした時間を活用して行う道徳授業なので、教師がいいなあと思える素材を日

常的な場面から発見し、子どもたちと自由に話し合えばよい。少々の失敗を気にせず、気

軽にチャレンジすればいいのだが、SDKとしては、せっかく発見した素材をより効果的

に活用していくための方法を追究していきたい。

 このほか、視点1、視点2、視点3による3つの講座も行われた。

 3つの講座に共通していたことは、

 道徳授業づくりのポイントをわかりやすく伝えたいという意識が明確だったこと

である。一部の教師だけしかつくることのできない道徳授業ではなく、どの教師にもつく

ることができる方法や考え方を波及させていくこともSDKの重要な取組の一つである。

 発足会の詳細は、会員限定のメールマガジンでいずれ配信される予定である。

 支部も次々と設立され始めている。

 一番目に名乗りを上げたのは、兵庫支部。発足会前から支部をつくりたいと意気込んで

いた。発足会を機に名乗りを上げたのが、福岡支部、大阪支部、熊本支部である。あっと

いう間に4つの支部が設立されたスピード感は、予想をはるかに上回っている。道徳授業

を子どもたちにとってよいものにしていきたいという思いが強い教師が発足会に参加して

いたということだろう。

 夏の全国大会に向けて、さまざまな企画が出されている。兵庫支部では、第一回の支部

大会が計画されつつある。大阪支部もおもしろい企画を仕掛けている。

 さらに多くの会員の協力を得て、これからの新しい道徳授業づくりを提案していきたい

と思う。

開催予定

2020年6月19日(土)13:30~16:30第11回「感性を磨く」教師修業 鈴木健二オンラインセミナー
会員お申し込み