漫言放語~11月~

ある中学校の挑戦

SDK代表 鈴木健二

 10月下旬、愛知県のI中学校が道徳教育の研究発表会を開催しました。

 I中学校の道徳授業づくりのベースになったのは、次のような考え方です。

① その教材ならではの「ねらい」を設定する

② 教材に興味をもたせる

③ 思考を刺激する発問を工夫する

right

④ 身近な問題として意識づける

 これは、新しい道徳授業づくり研究会(SDK)で取り組んでいる道徳授業づくりの基本です。

 この考え方をもとに学校全体で取り組み、質の高い道徳授業を公開しました。

 特筆すべきは、I中学校が参加者に素敵なお土産を用意していたことです。

 それが、『朝道徳実践集』です(右写真)。

 これは「小さな道徳授業」の実践集です。

 I中学校では、全学級で「小さな道徳授業」に取り組んできました。その実践を集大成した冊子を作成したのです。

 この冊子には、次のような特徴があります。

① すべての内容項目を網羅している。

② 誰でもすぐに実践できるように、授業プランが示されている。

③ 思実践者による手応えや授業のコツなどが示されていて実践するときの参考になる。

right

 研究発表会に参加した教師は、この冊子をもらうことができただけでも大きな収穫になったはずです。

 道徳教育を研究している学校だからできる道徳授業ではなく、誰でも取り組むことのできる実践的な提案をしたい、という思いが凝縮された冊子となりました。

 I中学校の研究に2年間関わってきた私も、教科書教材部会の助言者として参加しましたが、大きな満足感を得ることができました。

 SDKで取り組んでいる道徳授業づくりの基本には、学校全体の道徳授業を大きく変える力があることを改めて感じることのできた一日となりました。



漫言放語~10月~

オンラインセミナーで学ぶ

SDK代表 鈴木健二

 コロナ禍で、対面によるセミナーや研修会の開催が難しい状況が続いています。そこで、オンラインによるセミナーや研修会を行っています。オンラインでは講師と参加者が同じ空間にいないので、参加者の表情やつぶやきなどがとらえにくく、臨機応変の展開ができないという弱点があります。しかし、オンラインだからこそのよさもいくつか発見することができました。


① 遠隔地に住んでいてセミナー会場までなかなか足を運べない人や、家庭の事情などで家を空けることが難しい人も、気軽に参加できる。

② チャット機能などを活用することにより、一人一人の考えを全員で共有できる。

③ プレゼンテーションの画面を自分のパソコンで間近に見ることができるので、内容を把握しやすい。


 9月初めに開催された「第6回感性を磨くセミナー」には、九州から北海道まで、日本各地の教師が参加しました。参加者の学びのレポート(セミナーの学びを分析してレポートにまとめる参加者が何人もいます)から、いくつか紹介しましょう。

 まずは、中堅教師Sさんです。


□ コロナ禍にあっても、学びを止めない、歩みを止めないSDKに参加してよかったと心から思います。今年度、前年度学年崩壊した子どもたちの学級担任をしながら、道徳を軸にした学級づくりに確かな手応えを感じています。

  

 Sさんは、「コロナ禍だから何もできない」ではなく、「コロナ禍の中で何ができるか」を考えることが大切であることを感じ取っています。そして学びを学級経営に生かしています。学びを止めない教師だけが子どもを成長させることができるのです。

 

 次に若手教師Nさんです。


□ チャットでたくさんの人の意見を見ることができたり、グループセッションで他の先生方と意見交流することができたりと、オンラインならではの学び方もあり、大変勉強になりました。オンラインにはオンラインの良さがあるのだと感じさせられました。


 Nさんは、対面のセミナーに何度も参加している教師です。そのNさんが、オンラインセミナーに参加したからこその学びを発見しています。まずは参加してみること、それが新たな学びにつながります。

 今後もSDKでは、学びたい教師の熱い思いに応えるセミナーを開催していく予定です。



漫言放語~9月~

「小さな道徳授業」を学級経営に生かす

SDK代表 鈴木健二

 すべての子どもが幸福に育つ環境はおそらく存在しない。

 だけど子ども時代の幸福な記憶は一生の宝物になる。

 子どもたちがそんな日々を過ごせるよう切に願い手を差し伸べる。

 それは全人生をかけるだけの価値がある仕事だ-と。


 これは、『リエゾン-こどものこころ診療所-』(講談社)という漫画(テーマは発達障害)のある場面の言葉です。

 ここで取り上げられているのは、ある小児科医の言葉ですが、私たち教師にもそのまま当てはまるのではないでしょうか。

 児童虐待など、子どもたちのさまざまな問題が報道されているように、「すべての子どもが幸福に育つ環境はおそらく存在しない」のです。だからこそ、「子ども時代の幸福な記憶は一生の宝物になる」という言葉が響いてきます。

 私たち教師の仕事は、


 せめて学級にいる時間だけは、「幸福な記憶」をつくり、「一生の宝物」になるようにすること


ではないでしょうか。

 そして、そのような仕事は、全人生をかけるだけの価値があるのです。

 すべての子どもたちに、「幸福な記憶」をつくってあげることは簡単なことではありません。しかし、このような意識をもつ教師でなければ、教育の質を高めていくことはできないでしょう。

 その鍵を握るのが道徳教育だと考えています。

 今年は、コロナ禍のため、学級経営がいつもより難しくなっているという声も届いています。だからこそ、子どもたちの心に響く道徳授業が、大きな効果を生むのではないでしょうか。

 SDKでは、そのような道徳授業を生み出すために「小さな道徳授業」ゼミを行っています。7月に開催された第4回ゼミでは、16本の「小さな道徳授業」プランが提案されました。次のような素材が活用されていました。


 「目指すなら、100点より、100%」(東京海上日動)

 「走ったことがない距離だから決めた!」(愛媛トヨタ)


 これらの素材を効果的に活用するための授業プランが提案され、会員で意見の交流を行い、さらにプランをブラッシュアップさせていくのです。

 夏休み明けの子どもたちのモチベーションを高める効果が期待できそうです。 



漫言放語~8月~

教科書教材の効果的な活用に挑戦する

~第3回SDK誌上全国大会~

SDK代表 鈴木健二

 新型コロナウイルスの影響で、全国大会を誌上で行うことになりました。

 次のような大会テーマを設定しました。


『認識の変容を促す教科書教材の活用 ~4つの視点からのアプローチ~』


 道徳が特別の教科となり、多くの小中学校では教科書が使われていますが、あまり効果的に活用されているとは言えない現状があるからです。

 その原因の一つとして考えられるのが、


 どのように教材研究すればいいかわからない


ということです。

 そこで、冒頭に示したようなテーマを設定し、教科書教材を効果的に活用する方法を追究することにしたのです。

 会員からは、小学校から中学校までのさまざまな教科書教材を活用した実践例や授業プランが提案され、100ページほどの冊子が完成しました。どのページを開いても実践にすぐ役立つ提案が満載されています。

 教科書教材を効果的に活用するポイントは次の4つです。


① その教材ならではの「ねらい」を設定する。

② 教材に興味をもたせる。(問題意識を高める)

③ 思考を刺激する発問を工夫する。

④ 身近な問題として意識づける。


      

 ポイントはわかっていても、それを実際の授業づくりにうまく活用できるかどうかは、教師の力量次第です。今回の誌上全国大会では、会員が、4つのポイントを意識しながら教科書教材の効果的な活用に挑戦しています。

 これらの提案から、教科書教材を効果的に活用するための新たな視点も見えてきそうです。

 誌上全国大会では、「小さな道徳授業」プランも数多く提案しています。

 「小さな道徳授業」プランづくりも、教科書教材の効果的な活用につながる重要な視点を含んでいるからです。

 SDKで教科書教材を効果的に活用する力量を高め、子どもにとって意味のある道徳授業づくりに挑戦していきましょう。



漫言放語~7月~

元気の出る話

SDK代表 鈴木健二

 コロナウイルスの報道が連日長時間流されています。気が滅入るニュースが多い中で、ちょっと元気をもらえるニュースもあります。

 例えば、


ベルギーの老人ホームで高所作業用のクレーンが大活躍をしている


というニュースです(「羽鳥慎一のモーニングショー」テレビ朝日2020年4月28日放送)。

 高所作業用のクレーンが老人ホームで何をするのでしょうか。

 何と、コロナウイルスの影響で面会が禁止になっているお年寄りと家族が窓越しに会えるようにしているのです。

 このアイデアを思いついたのは、コロナウイルスの影響で仕事が減っている機材のレンタル業者です。老人ホームの前で大声で叫ぶ家族の姿を見て、自分の機材が役立つと考え、このようなことをやっているのです。この人は、面会できたことを喜んでいる人たちを見て、自分自身も元気をもらっているのではないでしょうか。

 仕事が減っているのにも関わらず、誰かのためにすばらしい発想で自分ができることをしている人がいるのだと知って、元気をもらいました。

 ここから学べるのは、


自分にできることを少し工夫して生かせば、誰かのためになる行動につながる


      

ということです。

 そこで、次のような「小さな道徳授業」プランを考えてみました。


①  ビルの窓にクレーンが人を乗せて近づいている写真を見せて、「気づいたこと、考えたこと、はてなと思ったこと」を発表させる。

②  老人ホームの建物であることを知らせたあと、「“1ヵ月ぶりの笑顔”家族が窓越しに再開」という言葉を提示し、いったい何をしている場面なのか話し合わせる。

③  場面の説明をしたあと、レンタル業者の人から学べることを話し合わせる。

④  学んだ考え方をどのように生かすことができそうかを考えさせる。


 素敵な人のニュースを発見して教材化し、子どもたちを元気づける授業をしたいですね。



漫言放語~6月~

教師自身の価値観を深める

SDK代表 鈴木健二

 私たちは、「障害者」「健常者」という言葉をあまり違和感を持つことなく使っています。それは、いつの間にかそのような価値観を植え付けられているからではないでしょうか。

 このような現状に違和感を持つ広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館)は、次のような提案をしています(「障害者は弱者か 視覚偏重社会に問う」朝日新聞2020年5月27日)。


□ 「健常者」を「見常者」に、「視覚障害者」を「触常者」に呼びかえ、食文化ならぬ「触文化」を構築してはどうか。


 「触常者」という言葉を聞いて、そのようなとらえ方があるのか、と目から鱗が落ちる思いでした。

 広瀬氏は言います。

 「たとえば視覚障害者は触覚や聴覚が研ぎ澄まされている。視覚優先の社会ゆえに失ったもの、むしろ目が見えるゆえに気づかない世界もあるのでは。さわることで、より深く理解できるものもある」

 このような考え方に触れると、自分自身の価値観が揺さぶられます。

 大学院で「道徳教育の理論と実践」という授業を担当しています。

 第1回目の授業では、「質の高い道徳授業をするためには、教師自身の価値観を深めることが大切だ」という話をします。すると、大学院生から、次のような質問が出されます。


□ 価値観を研ぎ澄ましたり、良い着眼点を得たりするために日頃からできることは何でしょうか。


 私は、次のように答えます。


自分にはない新たな考え方を学び続けることでしか、価値観を深めていくことはできない。


 前半で取り上げた広瀬氏の話からも「自分にはない新たな考え方を学ぶ」ことができます。このような小さな学びの積み重ねが、自分自身の価値観を深めることにつながっていくのです。このような小さな学びの積み重ねが、自分自身の価値観を深めることにつながっていくのです。

 ここで述べたのは当たり前のことですが、このようなことを意識している教師はあまり多くないように思います。

 新型コロナウイルスの影響で、世の中では思いもよらなかった出来事が起きています。

 教師自身の価値観を深めていく貴重な機会ととらえてはどうでしょうか。



漫言放語~5月~

コロナで見えてきたこと

SDK代表 鈴木健二

 ただでさえマスクをする人が多かった日本人ですが、コロナウイルスの影響でさらにその着用率が高まっています。今や付けていない人が肩身の狭い思いをしなければならないほどです。

 しかし、マスク着用が広がるという状況に困っている人がいます。

 それは、聴覚障害者の方々です。

 新聞に次のような見出しがありました(毎日新聞2020年4月20日)。


「レジで、会議で、誰が何を…」聴覚障害者につらいマスク、テレワーク 


 この記事では、次のように伝えています。


□ 新型コロナウイルスの感染拡大で当たり前となった、マスクの着用やソーシャルディスタンシン
グ、在宅でのテレワーク……。しかし、口の動きを読み取ることでコミュニケーションを補ってきた耳の不自由な人たちは「スーパーや病院で誰が何を言っているかわからない」「ビデオ会議の画面は見づらく詳細が把握できない」と困惑している。


 マスクの着用が当たり前になりつつある世の中で、私たちが気づかないところで困っている人がいるわけです。

 道徳授業では、障害のある人を取り上げることもありますが、それにも関わらず、自分の想像力の乏しさに愕然とした記事でした。

 このような状況に対して、早速動く方々もいます(毎日新聞2020年5月5日)。


手話通訳者が透明マスク開発 市販のビニール製封筒活用 山形


□ 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、山形市役所で手話を使う同市身体障害者福祉 協会の職員
2人が、マスクを外さずに手話ができるようにと、ビニール製の透明なマスクを手作りで作製した。耳が不自由な人たちとの会話は口の動きなど、表情を伝える必要があるため考案した。


 このような事実を知ると、物事の見方・考え方が変わります。自分になかった新たな視点を学ぶことができます。

 ここで挙げた事例のように、コロナウイルスがもたらした社会状況の中から、学ぶべきことがいくつも発見できます。

 コロナで見えてきたことを教材にして子どもたちと議論していくことが、今後の生き方に大きな影響を与えることになるのではないでしょうか。




漫言放語~4月~

成長したいと願う教師のための研究会

SDK代表 鈴木健二

 SDKを立ち上げたのが、昨年の4月27日でした(SDK発足記念の第1回全国大会を開催)。

 あれから一年が経とうとしていますが、この間、次のような動きがありました。

 ① 全国大会の開催(4月と8月に開催)

 ② 支部大会(大阪・福岡)の開催(コロナウイルスの影響により延期)

 ③ 会員数の増加(当初の目標に近づいています)

 ④ 全国各地に支部が発足(大阪、福岡、熊本、大分、宮崎など)

 ⑤ 機関誌『談論風発』の発行(年3回)

 ⑥ メールマガジンの発行(年4回・会員限定)

 ⑦ 定例会の開催(2ヶ月に一回開催・会員限定)

 SDKで重視していることの一つが、


 質の高い道徳授業をつくることのできる教師を育てる


ということです。

 教師を育てるためには、次の三つが大切だと考えています。

 A 誰でも取り組める授業づくりのステップの提案

 B 授業づくりのステップを活用したすぐれた授業の提案

 C 自分の授業を提案し検討する場の設定

 Aは、これまでほとんど提案されてきていません。だから道徳授業をどうしたらいいかわからない教師が圧倒的に多いのです。全国大会や支部大会では、道徳授業初心者にもわかりやすく、すぐに役立つ提案をしています。

 Bについては、全国大会や支部大会で、すぐれた実践を生み出している会員が魅力的な提案をするとともに、機関誌やメールマガジンで、多様な授業実践を誰でも追実践できる形で発信しています。

 そして、特に大切なのがCです。

 理論やすぐれた授業実践を学んでも、自分の授業に生かすことは簡単なことではないからです。学ぶ意欲の高い教師の前で自分の授業を提案し、厳しい検討を行うことによって初めて自分の課題が見えてくるのです。この検討の場の中心的な役割を果たしているのが定例会です。定例会に継続して参加することによって、自分の実践が客観的に見えてくるようになります。

 新年度がスタートしました。新たな企画も進んでいます。

 本気で成長したいと願っている多くの教師の参加を待っています。




漫言放語~3月~

新聞と道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 大分県中津市で大分県NIE実践研究会とコラボしたセミナーが開催され、「新聞と授業づくり~考える力を育てる~」というテーマで講演しました。

 新聞は、各教科等の授業に活用できる素材の宝庫です。

 中でも、「特別の教科 道徳」は、新聞記事を活用しやすい教科の一つです。

 とはいうものの、今回のテーマには、「考える力を育てる」というサブテーマがつけられています。ただ新聞記事を活用すればよいというのではなく、「考える力を育てる」ことにつながる授業づくりについての提案が求められているわけです。

 当たり前のことですが、授業をすれば子どもが考えるわけではありません。

 そこで大切になってくるのが、子どもたちが考えたくなるような仕掛けです。

 講演の中で活用した新聞記事の一つが、


自分のゴミ、責任持とう


という日本に15年以上住んでいるという外国の方の投稿でした(讀賣新聞2020年2月12日)

 題名を見て、どんな内容が書いてあると予想されるでしょうか。

 実は、ほとんどの人の予想を覆す内容が書いてあります。

 この題名をうまく活用することによって、子どもたちに興味をもたせるとともに思考を促すことが可能になります。

 このような授業を受けると子どもたちは考えることの楽しさを感じます。

 これが、「考える力を育てる」第一歩となるのです。

 もう一つ準備していたのが(時間の都合で扱えませんでしたが)、「東京五輪・パラ大会モットー決定」という新聞記事です(毎日新聞2020年2月18日)です。

 この記事には、次のようなモットーが大きな文字で書かれていました。


United by Emotion(感動で、私たちは一つになる)


 このモットーの言葉だけでも、子どもたちの思考を促す授業をつくることができます。

 思考を促されると、ほかの人の考えも聞いてみたくなります。

 ここから交流が始まります。

 講演会でも、参加者(小中学校の教師の中に、一人だけ中学2年生が参加していました)は、投稿の記事をめぐって、さまざまな意見の交流をしました。

 新聞記事から、子どもたちが本気で考えたくなる道徳授業を開発することも、SDKの重要な取組の一つです。


漫言放語~2月~

質の高い道徳授業をめざして

~支部大会で学び合おう~

SDK代表 鈴木健二

 2月、3月と立て続けにSDK支部大会が開催されます。

 支部大会は、各支部が独自に運営する大会です。

 本部事務局は協力はしますが、一切口出しはしません。

 支部会員が学びたいことを自由に企画できるところが魅力です。


2月29日(土)大阪支部大会 大会テーマ『子どもの変容を促す道徳授業とは』


 子どもたちの認識の変容を促すことができなければ、道徳授業をする意味がありません。

 現在小中学校で行われている道徳授業の多くは、子どもたちがすでに知っていることをなぞるだけの内容になっています。これでは、せっかくの道徳授業が子どもたちにとって意味のあるものになりません。

 「どうしたら子どもたちの認識の変容を促す道徳授業をつくることができるのか」

 この重要なテーマに挑戦するのが、大阪支部大会です。小さな道徳授業、教科書を活用した道徳授業の2つの視点で、子どもの認識の変容を促す道徳授業のあり方について検討します。

 私も最近参観した道徳授業をもとに、このテーマに迫る予定です。


3月29日(日)福岡支部大会 大会テーマ『子どもの思考を揺さぶる道徳授業とは』


 多くの小中学校が、「考え議論する道徳」を研究テーマに掲げて取り組んでいますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。何でも考え議論すればいいというわけではないからです。重要なのは、

 「何を考えさせるのか」「何を議論させるのか」

ということです。

 この「何を」という部分の検討が十分なされなければ、「考え議論する」意味が弱くなってしまうのです。

 福岡支部大会では、子どもの思考を揺さぶる道徳授業のあり方について、小さな道徳授業、教科書教材、開発教材の3つの視点から、数多くの実践的提案が予定されています。

 二つの支部大会は、新年度に向けて道徳授業の質を高めたいという意欲をもっている教師にとって、貴重な学びの場となるはずです。子どもたちにとって意味のある道徳授業をつくりたいと願う全国の教師との出会いも貴重な体験となることでしょう。


※ 支部大会ではありませんが、2月22日(土)は、大分県中津市で大分県NIE実践 研究会とコラボしたセミナーが開催されます。道徳授業づくりのポイントや素材研究の基本、新聞を授業にどう活用するかなどについて学びを深めます。

漫言放語~1月~

SDKを立ち上げた志

SDK代表 鈴木健二

 1月はじめに熊本市で道徳セミナーが行われました。

 20年以上にわたって講師を務めていますが、今年も満員御礼でした。

 毎年のことですが、事務局のS先生の奥様と娘さん(お二人とも教師)が、受付で参加者に丁寧な対応をされていました(お二人は終日最後尾の受付席で講座を聴かれています)。このような人たちに私たちは支えられています。

 このセミナーの第一回がスタートしたのは、私が精神的に落ち込んでいた時期でした。

 主催者のM先生から、職場に講師依頼の電話がかかってきたときのことを昨日のことのように覚えています。このセミナーの講師を引き受けたことが、立ち直るきっかけになっていきました。現在の私の原点とも言えるセミナーです。


 今回のセミナーで依頼されたテーマは、

 SDKを立ち上げた志

でした。

 講演時間をまるまるSDKの魅力を伝えるために使えるということです。

 M先生の粋な計らいをうれしく思うと同時に、SDKなんてまったく知らない参加者にしっかりと魅力を伝えなければと身が引き締まりました。

 SDKを立ち上げた志を一言で言うなら

 子どもにとって意味のある道徳授業をつくる

ということです。

 「子どもにとって意味のある道徳授業」とは、「子どもたちがこれから生きていく上で何らかの支えになる授業」ということです。

 しかし、現在行われている道徳授業の多くは、「あまり印象に残っていない」(北海道の高校生の声)、「新しいことを学んだという記憶がない」(三重県の高校生の声)という状況に陥っているように思えます。

 このような現状を少しでもよい方向に変えていきたい。

 これがSDKのめざしていることです。


 さて、セミナーでSDKの魅力は伝わったのでしょうか。

 私の話のあと、入会希望者が相次ぎました。

 この熱気は懇親会場にも引き継がれ、ここでもセミナー会場以上の入会希望があり、何とかM先生の配慮に応えることができたようです。

 2020年、熊本セミナーで幸先のよいスタートを切ったSDK。

 会員とともにさらに質の高い道徳授業の提案をしていく予定です。

 私たちと一緒に、子どもにとって意味のある道徳授業づくりにチャレンジしませんか。

漫言放語~12月~

教材の本質が見えていないという自覚をする

SDK代表 鈴木健二

 全国各地で道徳授業を参観します。

 参観しながら感じるのは、


 教材の本質が見えていないまま授業をしている教師が多い


ということです。

 残念ながら多くの教師は、そのことに気づいていません。

 なぜ気づかないのでしょうか。

 次のような点が原因として挙げられます。


① 小中学生用の教材だから、教師である自分には十分読み取れていると思っている

② 教科書会社が示している内容項目に縛られてしまい、それ以上教材の本質を見よ

  うとしない


 ある大学院生の授業を参観して指導する機会がありました。

 授業の素材は絵本です。

 自分がいいなあと思った絵本を教材化して授業を行ったのです。このようなチャレンジ

をする姿勢がすばらしいと思いました。

 授業を参観したあと、いくつかの課題を指摘したのですが、特に今後の重要な課題とし

て「この絵本の本質が見えていない」という指摘をしました。教材として活用された絵本

の本質について私なりのとらえ方も話しました。

 すると、その大学院生は涙ぐみながら次のように言ったのです。

「私は教材の本質がなかなか見えないんです。だから授業をしたくないんです。授業が苦

手なんです」

 自分の授業が思うようにいかなかったことがよほど悔しかったのでしょう。

 しかし、この大学院生はすでに一歩踏み出しています。

 教材の本質が見えていないという自覚のない教師が多い中で、自分は見えていないという自覚をしているからです。

 どうしたら教材の本質が見えてくるようになるのでしょうか。

 その第一歩は、


 自分には教材の本質が見えていないという自覚をする


ことです。このような自覚があれば、教材の本質が見えるようになるための努力が始まるからです。

漫言放語~11月~

生徒が変わる道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 ある中学校で道徳授業をしました。

 授業前に学級担任から、学級の様子について説明を受けました。

 それによると、中学校入学以来、授業中全く発言しない生徒(A君)が一名いて、先日担

任が行った授業でも、指名したら固まってしまい、周りの生徒がサポートしてくれた場面が

あったとのことでした。

 ですから、その生徒に留意して授業を進めた方がよいのではないかという話でした。


 授業のテーマは、「人生を切り開く大切な力」。

 小さな道徳授業を3つ組み合わせて構成した授業です。

 小さな道徳授業は、10~15分くらいのちょっとした道徳授業なので、共通するテーマ

の小さな道徳授業をいくつか組み合わせて構成すると一時間の道徳授業をつくることも可

能です。複数の教材の共通点や相違点を考えさせることによって、思考を深めることができ

る上に、短時間で教材が変わっていくので、生徒の集中力も途切れにくくなります。


 いよいよ授業が始まりました。

 授業序盤の生徒の反応を見て、とてもよい雰囲気の学級だなと感じました。

 A君に留意しつつ授業を進めていましたが、終盤になって指名してみることにしまし

た。授業ではペアで話し合ったり、自由に歩き回って交流したりする場面をつくっていた

のですが、その時の様子などを見ていると、発言しそうな気がしたのです。100%の確

信があったわけではないので、発言できない場合には、別の対応をすればよいと考えてい

ました。

 A君の座っている列を指名しました。

 前に座っている生徒から発言し始めます。

 いよいよA君が立ち上がりました。

 どうなるだろうと思って見ていると、しっかりした声で自分の考えを発言したのです。

 この授業で最もうれしい瞬間でした。

 中学校に入って一年半、教室で一度も発言したことのないA君が、突然やってきて授業を

した教師の前で発言したのです。


 数年前、熊本県の中学校で授業をしたとき、ある生徒の発言に対して、

「あなたの考えはとても深いですね」

 と言ったことがありました。授業後、特別支援学級に在籍している生徒だったことがわか

りました。参観していたその学校の教師は、生徒の様子を見て驚いていたそうです。

 考えたくなるような道徳授業、発言したくなるような道徳授業をすることによって、生徒

は大きく変わるのです。

 この授業がA君の人生を切り開く小さなきっかけにでもなるといいなと思いました。

 私の記憶に深く刻み込まれる授業の一つになりました。

漫言放語~10月~

道徳授業のチカラ

SDK代表 鈴木健二

 先日、ある中学校の研修会に行ってきました。

 2年間にわたって道徳教育の研究を積み重ねてきた中学校で、昨年度の研究発表会には

全国から多くの参観者が訪れました(研究には私も2年間関わりました)。

 「今年度もさらに研究を深めていきたい」という意欲を多くの教師がもっていて、継続し

てきてほしいということで訪問しました。

 1年生から3年生まで授業を3つ参観したのですが、次の点がどの学級にもしっかり根

付いていることを実感しました。


 ① 教室に温かい雰囲気が漂っている

 ② 生徒の学びに向かう姿勢が積極的である

 ③ 自分の考えをきちんと書くことができる

 ④ 発表するときに、自分の考えを伝えようとする意識が感じられる

 ⑤ 友だちの意見にしっかり耳を傾けている


 この中学校は、道徳授業の充実に2年間取り組んだことによって、思わぬ効果も表れま

した。

 それは、学力がかなり向上したということです。

 先に挙げた5つが学級に根付くことによって、各教科の授業の効果も上がるようになっ

right

たのでしょう。

 道徳授業の効果を高めた要因はもう一つあ

ります。

 それは、


小さな道徳授業に全校で取り組んだこと


です。

 右の写真は、今回訪問したときにいただい

た「小さな道徳アイデアシート」というファ

イルです。独自に開発した教材や授業プラン

が満載です。この中学校では毎週水曜日の朝

の時間に、全校で小さな道徳授業に取り組ん

でいます。

一時間の道徳授業との相乗効果で、大きな

成果につながったのです。

漫言放語~7月~

定例会で学ぶ!

SDK代表 鈴木健二

 6月に、SDKの第一回定例会(会員限定の研究会)を開催した。

 大阪や福岡からも参加があり、なかなか刺激的な内容となった。

定例会の目的は次の3つである。


 1 道徳授業づくり理論の確立

 2 道徳授業づくり上達論の確立

 3 SDK版「道徳教科書」の開発


 1について。

 全国各地の小中学校や教育委員会の研修会で講演をするときに、次のような問いかけを

する。


 自分が道徳授業をつくるときの基礎・基本はこれだというものがありますか。


 多くの教師は、自信なさそうな表情を浮かべる。

 道徳授業をどのようにつくっていけばいいのか、よくわからないのである。

 これでは、キャッチボールもうまくできないのに、野球の試合に出るようなものである。

 定例会では、このような現状を改善するために、会員の実践的な研究をとおして、道徳

授業づくりの理論を確立していきたいと考えている。

 2について。

 道徳授業づくりの理論を学んだからといって、すぐに授業が上達するわけではない。

 わかることとできることは別のことだからである。

 そこで、定例会では、どうすれば道徳授業づくりが上達するのか、会員の実践や授業プ

ランの検討をとおして追究していく。今回の定例会でも、参加者全員が実践レポートや授

業プランを提案し、学べる点や改善点を検討した。

 3について。

 道徳の教科化に伴い、教科書が使われるようになった。しかし、多くの教師の教科書に

対する評価はあまり高くないように感じる。今後、教科書も少しずつ改善され、質の高ま

りも期待されるが、それを待っているだけでは、現状はなかなか改善されない。そこで、

SDKでは、独自の教材の開発も視野に入れている。その中心となるのが、定例会である。

 次回の定例会は、10月を予定している。

 テーマは、


小さな道徳授業の教材開発の可能性を探る


である。定例会参加者から、数多くの素材が提案されることになっている。


【全国大会のご案内】

 8月18日(日)に開催される全国大会では、会員の自由研究発表や小さな道徳授業の

レポートの提案と検討、先進的な取組をしている会員の講座が行われる。二学期の道徳授

業の充実に向けて、大きな学びの場となるはずである(満席まであとわずかです)。

漫言放語~5月~

SDK、ついに始動!

SDK代表 鈴木健二

 第一回SDK全国大会(発足会)が開催された。

 10連休の初日にもかかわらず、熊本、長崎、兵庫、大阪、神奈川、三重、愛知など、

日本各地から、新しい道徳授業づくりに高い関心をもつ教師が集まった。教師以外にも、

教育書出版社、読売新聞、教科書会社の方なども参加され、SDKの活動に対する関心の

高さを感じた。

 全国大会の冒頭は、「小さな道徳授業対決」というちょっと刺激的な企画だった。

 「小さな道徳授業」は、これからの道徳授業を子どもたちにとってよりよいものにして

いくための土台となるものであり、SDKの重要な取組の一つである。

 その「小さな道徳授業」の模擬授業を3名の教師が提案し、どれがよかったかを参加者

が協議するという企画である。

 提案された授業のテーマは、次の3つ。

 A 挨拶の意義…素材:野口芳宏氏の著書

 B 整理整頓の意味…素材:学級の生徒のロッカー

 C 成功するための思考方法…素材:Eテレの番組

 書籍、学級の実態、テレビ番組など、素材をいろいろなところから発見し、活用してい

ることがわかる。これが「小さな道徳授業」のよさであり、おもしろさである。朝の会な

どのちょっとした時間を活用して行う道徳授業なので、教師がいいなあと思える素材を日

常的な場面から発見し、子どもたちと自由に話し合えばよい。少々の失敗を気にせず、気

軽にチャレンジすればいいのだが、SDKとしては、せっかく発見した素材をより効果的

に活用していくための方法を追究していきたい。

 このほか、視点1、視点2、視点3による3つの講座も行われた。

 3つの講座に共通していたことは、

 道徳授業づくりのポイントをわかりやすく伝えたいという意識が明確だったこと

である。一部の教師だけしかつくることのできない道徳授業ではなく、どの教師にもつく

ることができる方法や考え方を波及させていくこともSDKの重要な取組の一つである。

 発足会の詳細は、会員限定のメールマガジンでいずれ配信される予定である。

 支部も次々と設立され始めている。

 一番目に名乗りを上げたのは、兵庫支部。発足会前から支部をつくりたいと意気込んで

いた。発足会を機に名乗りを上げたのが、福岡支部、大阪支部、熊本支部である。あっと

いう間に4つの支部が設立されたスピード感は、予想をはるかに上回っている。道徳授業

を子どもたちにとってよいものにしていきたいという思いが強い教師が発足会に参加して

いたということだろう。

 夏の全国大会に向けて、さまざまな企画が出されている。兵庫支部では、第一回の支部

大会が計画されつつある。大阪支部もおもしろい企画を仕掛けている。

 さらに多くの会員の協力を得て、これからの新しい道徳授業づくりを提案していきたい

と思う。

開催予定

2020年11月28日(土)13:30~16:30第7回「感性を磨く」教師修業 鈴木健二オンラインセミナー
未定未定第5回 SDK特別定例会
未定未定SDK創立1周年記念拡大定例会
会員お申し込み