漫言放語 №42
議論する意味を実感させる
大学2年生を対象に教育学概論という授業を行っている。
テーマは、「学級経営の基礎・基本」である。3つの基本を取り上げて授業をしているのだが、授業後の課題レポートに次のような記述があった。
□ 講義の終盤、「学級目標が必要か」というテーマでとても熱い議論が交わされた。今思い出してもそれぞれが真剣に考えや意見がぶつけており、AbemaTVで放送されても遜色ないくらいの議論になっていたのではないかと思う。それは、お互いが自分の考えをハッキリと持ったうえで、人の意見を聞き考えることが出来たからではないだろうか。今後も議論をする機会があると思うが、次は自分も加われるようにしっかり自分の意見をもち人の意見を聞いていきたい。
「学級目標は必要か」という問いかけに対して、必要が14名、不要が1名だった。
圧倒的に必要派が多いのに、なぜこのような熱い議論になったのだろうか。
それは次のように展開したことも要因の1つだろう。
① まず不要派にその理由を発言させる
② 必要派にどうしたら不要派に必要であることを納得させられるか考えさせる
③ 必要派の考えを聞いて納得したかどうか不要派に問いかける
不要派の学生がなかなか納得しなかったということもあって、必要派はさまざまな考えをぶつけてきた。こうして、たった一人の不要派が主役の授業になっていった。
次のようなことを記述した学生もいた。
□ 学級目標が本当に必要であるか、自分の中で答えを出すことは難しいが、両方の立場からの意見を聞くことで、自分の中の考えがより深まることを感じた。今回の授業を通して、意見交換の意義はそこにあるのではないかと考えた。
「主体的・対話的で深い学び」「考え議論する道徳」などのテーマを掲げて校内研究に取り組んでいる学校が増えているが、そのような授業を実現するために最も大切なのは、
教師自身がそのような体験をどれくらいしているか
ということである。自分自身が体験したことがないことを子どもたちにさせることは難しい。
教師自身が議論する意味を実感することが大切なのである。
新着情報
開催予定
2022年6月11日(土) | 13:00~17:00 | 第17回感性を磨くセミナー |
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2022年8月20日(土) | 9:45~17:00 | 第5回 新しい道徳授業づくり研究会「SDK」全国大会 |
2022年8月21日(土) | 13:00~17:00 | 第18回感性を磨くセミナー |