漫言放語~11月~

生徒が変わる道徳授業

SDK代表 鈴木健二

 ある中学校で道徳授業をしました。

 授業前に学級担任から、学級の様子について説明を受けました。

 それによると、中学校入学以来、授業中全く発言しない生徒(A君)が一名いて、先日担

任が行った授業でも、指名したら固まってしまい、周りの生徒がサポートしてくれた場面が

あったとのことでした。

 ですから、その生徒に留意して授業を進めた方がよいのではないかという話でした。


 授業のテーマは、「人生を切り開く大切な力」。

 小さな道徳授業を3つ組み合わせて構成した授業です。

 小さな道徳授業は、10~15分くらいのちょっとした道徳授業なので、共通するテーマ

の小さな道徳授業をいくつか組み合わせて構成すると一時間の道徳授業をつくることも可

能です。複数の教材の共通点や相違点を考えさせることによって、思考を深めることができ

る上に、短時間で教材が変わっていくので、生徒の集中力も途切れにくくなります。


 いよいよ授業が始まりました。

 授業序盤の生徒の反応を見て、とてもよい雰囲気の学級だなと感じました。

 A君に留意しつつ授業を進めていましたが、終盤になって指名してみることにしまし

た。授業ではペアで話し合ったり、自由に歩き回って交流したりする場面をつくっていた

のですが、その時の様子などを見ていると、発言しそうな気がしたのです。100%の確

信があったわけではないので、発言できない場合には、別の対応をすればよいと考えてい

ました。

 A君の座っている列を指名しました。

 前に座っている生徒から発言し始めます。

 いよいよA君が立ち上がりました。

 どうなるだろうと思って見ていると、しっかりした声で自分の考えを発言したのです。

 この授業で最もうれしい瞬間でした。

 中学校に入って一年半、教室で一度も発言したことのないA君が、突然やってきて授業を

した教師の前で発言したのです。


 数年前、熊本県の中学校で授業をしたとき、ある生徒の発言に対して、

「あなたの考えはとても深いですね」

 と言ったことがありました。授業後、特別支援学級に在籍している生徒だったことがわか

りました。参観していたその学校の教師は、生徒の様子を見て驚いていたそうです。

 考えたくなるような道徳授業、発言したくなるような道徳授業をすることによって、生徒

は大きく変わるのです。

 この授業がA君の人生を切り開く小さなきっかけにでもなるといいなと思いました。

 私の記憶に深く刻み込まれる授業の一つになりました。




開催予定

2019年12月14日(土)13:30~17:00第3回 SDK定例会
2020年 2月29日(土)13:20〜17:00第1回 SDK大阪支部大会
2020年 3月29日(日) 9:50〜17:00第1回 SDK福岡支部大会
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